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精油の表示・製造と薬機法|用途によって変わる法的な位置付け

精油と薬機法の関係は、まず用途を三つに分けると理解しやすくなります。

  • 室内の香り付けに使う精油は、一般に雑貨として扱われます。
  • 身体への使用を目的とする製品は、化粧品に該当するかが問題になります。
  • 疾病の治療・予防などの効果をうたう製品は、医薬品に該当するかが問題になります。

これは基本的な判断軸であり、法律上の区分をこの三つだけで機械的に決められるわけではありません。同じ精油でも、何のために使う製品か、どのように表示・広告するか、どのような方法で使うかなどによって扱いが判断されます。製造や販売を行う場合は、誰がどの工程を行い、どのように市場へ出すかも関係します。

この記事では、アロマテラピーで精油や手作り品を扱うとき、どの行為がなぜ薬機法上の問題になり得るのかを説明します。

薬機法は品質・有効性・安全性を確保する法律

薬機法は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称です。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品などを対象とし、その品質・有効性・安全性の確保や、保健衛生上の危害の発生・拡大の防止などを目的としています。

アロマテラピーで特に関係するのは、次の三つの区分です。

区分法律上の主な目的・性質
医薬品疾病の診断・治療・予防、または身体の構造・機能への影響を目的とする物など
医薬部外品吐き気などの不快感や口臭・体臭、あせも等の防止、育毛など、法律で定める目的に用い、人体への作用が緩和な物など
化粧品身体を清潔にする、美化する、魅力を増す、容貌を変える、皮膚・毛髪を健やかに保つ目的で、塗擦・散布などにより使い、人体への作用が緩和な物

製品がどの区分に当たるかは、成分だけで決まるものではありません。目的、表示、広告、使用方法などを含めて判断されます。

精油は用途と表示によって扱いが変わる

空間や水に香りを付けることを目的とした精油は、一般に化粧品には該当せず、いわゆる雑貨として扱われます。一方、身体への芳香付けや肌への効果を目的として表示した製品は、化粧品に該当し得ます。病気の治療・予防や身体機能への作用を目的として示せば、医薬品への該当性が問題になります。

たとえば、室内芳香用の精油について「不眠症におすすめ」「吸入すると鼻やのどの調子を整える」「うつを改善する」などとうたうと、単なる香りの説明ではなく、疾病や身体機能への効果を標榜したものと受け取られます。承認を受けていない医薬品に当たるものとして、薬機法の規制を受ける可能性があります。

したがって、「精油は法律上すべて雑貨」と固定して覚えるのは正確ではありません。雑貨として流通させる精油を、医薬品・医薬部外品・化粧品と誤認させる表示も避ける必要があります。

効果・効能をうたう広告はなぜ問題になるのか

薬機法第66条は、医薬品・医薬部外品・化粧品などの名称、製造方法、効能・効果・性能について、虚偽または誇大な広告・記述・流布を禁止しています。第68条は、承認前の医薬品などについて、その名称、製造方法、効能・効果・性能を広告することを禁止しています。規制は製造者や販売者だけを対象とするものではありません。

精油を雑貨として扱う場合にも、病気の治療・予防や身体への作用を広告すると、その表示によって医薬品への該当性が問題になります。商品ラベルだけでなく、販売ページ、店頭POP、チラシ、SNSなどの表現にも注意が必要です。

また、適法に流通する化粧品であっても、自由にあらゆる効果をうたえるわけではありません。化粧品として認められる効能の範囲を越えた表現や、虚偽・誇大な表現はできません。「香りの印象を伝えること」と「製品が疾病や身体に作用すると保証すること」を分けて考えます。

製造、小分け、販売、輸入販売は別々に考える

化粧品には、製品を市場へ出荷して最終的な責任を負うための製造販売業許可と、実際に製造するための製造業許可があります。製造には、中身を作る工程だけでなく、包装・表示なども含まれます。完成品を別の容器へ詰め替える小分けも、単なる小売とは限らず、製造に当たる可能性があります。

一方、国内の許可を受けた製造販売業者から化粧品を仕入れ、表示や包装を一切変えずにそのまま販売するだけなら、薬機法上の製造販売業・製造業の許可は不要と案内されています。この場合と、自分で作った製品を市場へ出す場合を混同してはいけません。

海外の化粧品を仕入れて自社製品として国内市場へ出荷する場合には、化粧品製造販売業許可に加え、包装・表示・保管に関する製造業許可などが必要になります。個人輸入した自己使用目的の製品を他人へ販売することもできません。具体的な工程や取引形態によって必要な手続きが変わるため、開始前に所在地の都道府県の薬務担当部署へ相談します。

身体に塗る製品は目的まで見る 🟣専門

精油を植物油やクリーム基材に混ぜ、皮膚へ使用する製品として他人に販売・授与する場面では、化粧品への該当性を検討する必要があります。肌を整える、保湿する、身体に香りを付けるといった目的の製品は、化粧品の定義に関わるためです。

ただし、物理的に身体へ塗るという一事だけで、あらゆる物が自動的に化粧品になるわけではありません。製品の目的、作用、表示、使用方法を合わせて判断します。また、「痛みを治す」「炎症を抑える」など疾病の治療や身体機能への作用を目的とすれば、化粧品の範囲ではなく医薬品への該当性が問題になります。

手作り化粧品の私的贈与は二つの説明を区別する

自分だけで使うために化粧品を作ることと、作った物を他人へ渡すことは分けて考えます。

手作り化粧品の贈与が少量・低頻度・ごく少人数向けで、業として行うものではない場合、薬機法の規制を受けないと考えてよいと一般的には考えられています。しかしこれは、この条件を満たせば法律上必ず認められる、という一律の例外規定ではありません。

一方、自治体の現行行政資料は、国内で製造した化粧品を販売・授与する場合には許可が必要と案内しており、無償の授与を一律に規制の対象外とはしていません。したがって、少量のプレゼントで代金を受け取らない場合も、そのことだけで薬機法の対象外とは判断できません。

さらに、手作り品には、市販の化粧品のような品質管理や安全性確認が行われているとは限りません。渡す場合には、原材料、使用方法、保存方法、使用期限、起こり得る皮膚トラブルなどを相手へ十分に説明する必要があります。健康被害が生じれば、薬機法の適用とは別に、民事上・刑事上の責任が問題となる可能性もあります。

私的な贈与を予定している場合は、製品の目的、作り方、数量、頻度、相手、表示内容を具体的にして、事前に都道府県の薬務担当部署へ確認する必要があります。

行為ごとに確認すると判断しやすい

精油やアロマクラフトを扱う前に、次の順で確認します。

  1. 用途:空間の香り付けか、身体への使用か、疾病や身体機能への作用を目的としていないか。
  2. 表示・広告:医薬品・医薬部外品・化粧品と誤認させないか、認められた範囲を越える効果をうたっていないか。
  3. 工程:調合、充填、小分け、包装、表示変更を誰が行うか。
  4. 流通:自分だけで使うのか、販売するのか、無償で授与するのか、輸入して国内へ出荷するのか。
  5. 許可と相談:製品区分と工程に応じた許可・届出を、着手前に都道府県の薬務担当部署へ確認する。

薬機法上の問題は、精油という素材そのものだけでなく、用途をどのように示し、どの工程を行い、誰へ渡すかによって生じます。実際の事業では、広告以外の表示を扱う景品表示法や、製品事故に関わる製造物責任法なども関係します。詳しくは販売時の表示と製品責任を参照してください。

制度を確認するための公式資料

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