精油は植物から得られます。精油を利用することは、その原料植物が育つ環境や、植物を守りながら利用していく方法を考えることにもつながります。
精油を支える自然環境
植物が育ち、精油が得られるまでの過程には、土壌、大気、水、生き物などの自然環境が関わっています。
一方、地球温暖化や酸性雨は、自然環境へ影響を及ぼします。地球温暖化は、異常気象の頻発や植物の生育環境の悪化などにつながります。
精油の原料植物が多く育つアフリカや中東地域でも、人口増加や紛争などによる自然破壊が進んでいます。また、高値で取引される植物の乱獲など、需要の高まりによる環境への影響も懸念されています。
原料植物が直面する問題
精油の原料植物の中には、香木としてだけでなく、建材、家具、楽器の材料として大量に伐採され、絶滅の危機に直面しているものがあります。
樹脂を得る植物では、木を伐採しなくても、採取のため樹皮へ切り込みを入れることで樹木が弱る場合があります。原料を採取する方法も、植物の状態に影響します。
樹木の中には、成長に20年、50年、100年という長い年月がかかるものもあります。限りある原料植物を持続可能な形で利用するには、植物を守りながら計画的に利用する姿勢が必要です。
レッドリストと植物を守る取り組み
IUCN(国際自然保護連合)は、絶滅のおそれがある野生の動植物を絶滅危惧種としてレッドリストに掲載しています。公式テキストでは、掲載種は4万2,100種以上(2023年1月現在)とされています。
レッドリスト対象外の種についても、各国政府が伐採・輸出を規制したり、プランテーション化したりして、危機的状況にある植物を保護する動きがあります。
サンダルウッドの例
サンダルウッドは、日本では白檀の名でも知られ、お香、仏具、建材などに古くから使われてきた香木です。インドのマイソール産は香り高く、高級とされ、世界各地の宗教儀式などでも利用されてきました。
公式テキストでは、インドのサンダルウッドは保護森林となっており、伐採はインドの環境森林気候変動省が直接管理していると説明されています。伐採後の植樹が義務づけられ、輸出にも厳しい規制がかけられています。
この例は、成長に時間がかかる植物を利用しながら守るために、管理や規制が関わることを示しています。
持続可能な利用のためにできること
日々の生活では、ものを大切にする、無駄をなくす、花や草木を育てる、精油の原料植物について知るといった行動が、環境へ意識を向けるきっかけになります。
アロマテラピーで考えられる方法には、次のようなものがあります。
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希少な精油と似た香りや成分をもつ精油を選ぶ
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木部の伐採を必要としない、枝葉から抽出される精油を利用する
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計画的に植樹・管理された農園の植物や、代替植物から作られた製品を使う
絶滅が危惧される植物は、単に利用を控えればよいという考え方だけではありません。計画的に管理された植物や代替植物の製品を使うことで、原産地やそこで働く人々が経済的に豊かになり、それが植物を守ることにつながるという考え方もあります。
AEAJが示す「アロマ環境」と香育
AEAJは、精油を取り巻く植物や自然との豊かな共存を目指し、「自然の香りある豊かな環境」をアロマ環境と名づけています。
アロマ環境には、次の3つの観点があります。
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守る(保全)
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育てる(創造)
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楽しむ(活用)
その取り組みの一つが香育です。香育は、子どもたちに向けた香りの体験教育です。五感の一つである嗅覚に意識を向け、豊かな感性や柔軟な発想力を育むとともに、人と植物の関わりや自然環境の大切さを伝えます。
香りを通した環境活動
公式テキストでは、AEAJの環境活動として「環境カオリスタ検定」と「みどり香るまちづくり企画コンテスト」が紹介されています。
環境カオリスタ検定は、植物やその香りに親しみ、自然と環境を大切にする人を増やす取り組みです。
「みどり香るまちづくり企画コンテスト」は環境省が主催し、AEAJが共催する活動として紹介されています。「かおりの樹木・草花」を用いたまちづくりの企画を募り、優秀な企画へ苗木や苗を提供することで、植物の香りがあるまちづくりを支援します。
精油を選び、使うことは、植物と環境の関係から切り離せません。原料植物の現状を知り、無駄を減らし、植物を守りながら利用する選択肢へ目を向けることが、持続可能な利用につながります。