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官能基による精油成分の分類|成分類の全体像

精油成分は、分子の中にある官能基に注目すると、共通する性質ごとに整理できます。官能基は、反応性、溶解性、香りなどに大きく関わる特定の原子のまとまりです。

この分類では、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、オキサイド類、ラクトン類、カルボン酸類などを見分けます。官能基をもたない炭化水素類も、比較のため同じ分類地図に置きます。

骨格による分類と官能基による分類

精油成分には、二つの見方があります。

  • 骨格による分類:テルペン化合物、芳香族化合物、脂肪族化合物など
  • 官能基による分類:アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類など

二つはどちらか一方を選ぶ分類ではありません。たとえば「モノテルペンアルコール」は、モノテルペン骨格にヒドロキシ基が結合した成分です。「芳香族アルコール」は、芳香族骨格にヒドロキシ基をもつ成分です。骨格と官能基を組み合わせることで、その成分の位置づけが分かります。

官能基による成分類の全体像

成分類構造上の目印主な下位分類・見方代表成分
炭化水素類官能基なしモノテルペン炭化水素類、セスキテルペン炭化水素類α-ピネン、リモネン、β-カリオフィレン
アルコール類ヒドロキシ基(-OH)モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、芳香族アルコールl-メントール、ゲラニオール、テルピネン-4-オール、リナロール
フェノール類ベンゼン環にヒドロキシ基(-OH)ヒドロキシ基の結合先がアルコール類との違いオイゲノール
アルデヒド類アルデヒド基(-CHO)テルペン系、芳香族、脂肪族アルデヒドシトラール、シトロネラール、バニリン
ケトン類ケトン基(-CO-)テルペン系、脂肪族、環状ケトンカンファー、ヌートカトン、メントン
カルボン酸エステル類エステル結合(-COO-)脂肪族エステル、芳香族エステル酢酸ベンジル、酢酸リナリル
エーテル類エーテル結合(-O-)精油の学習では「オキサイド類」と呼ばれるまとまり1,8-シネオール
ラクトン類環内のエステル結合(-COO-)環状のエステル結合をもつジャスミンラクトン
カルボン酸類カルボキシ基(-COOH)弱酸性を示す成分安息香酸、ケイ皮酸

この表は、成分のすべての性質を一つの官能基だけで決めるものではありません。官能基が同じでも、骨格や分子全体の構造が違えば、香りや物性は異なります。

炭化水素類――官能基をもたない基準点

炭化水素類は官能基をもたず、炭素と水素を中心に構成されます。精油成分では、モノテルペン炭化水素類とセスキテルペン炭化水素類が代表的です。

モノテルペン炭化水素類の例にはα-ピネンとリモネン、セスキテルペン炭化水素類の例にはβ-カリオフィレン、α-パチュレン、β-パチュレンがあります。官能基をもつ成分と比較するときの基準点になります。

ヒドロキシ基――アルコール類とフェノール類

アルコール類とフェノール類は、どちらもヒドロキシ基(-OH)をもちます。違いは、ヒドロキシ基が結合する骨格です。

  • アルコール類:テルペン骨格や芳香族骨格などにヒドロキシ基をもつ
  • フェノール類:ベンゼン環へヒドロキシ基が直接結合する

アルコール類には、ゲラニオール、テルピネン-4-オール、リナロール、ネロリドール、スクラレオールなどがあります。フェノール類の代表例はオイゲノールです。同じヒドロキシ基をもっていても、骨格との組み合わせによって別の成分類になります。

炭素と酸素の二重結合――アルデヒド類とケトン類

アルデヒド基(-CHO)とケトン基(-CO-)は、どちらも炭素と酸素の二重結合を含みます。違いは、その炭素に何が結合しているかです。

  • アルデヒド類:アルデヒド基をもち、例にはシトラール、シトロネラール、バニリンがある
  • ケトン類:ケトン基をもち、例にはカンファー、ヌートカトン、メントンがある

名称だけでなく、-CHOと-CO-という構造上の目印を見分けると、二つの違いを整理できます。

エステル結合――エステル類とラクトン類

カルボン酸エステル類とラクトン類は、どちらもエステル結合(-COO-)をもちます。

カルボン酸類とアルコール類が反応すると、脱水反応によって水とともにエステルが生成されます。エステル類の代表例には、酢酸ベンジルと酢酸リナリルがあります。

ラクトン類では、同じ分子内のカルボキシ基とヒドロキシ基が脱水反応し、環状のエステル結合であるラクトン環をつくります。ジャスミンラクトンが代表例です。つまり、同じエステル結合をもちながら、環状になっていることがラクトン類の特徴です。

エーテル結合とカルボキシ基

精油の学習でオキサイド類と呼ばれる成分は、エーテル結合(-O-)を目印にします。一般的な化学分類との対応先はエーテル類です。代表例は1,8-シネオールです。

カルボン酸類は、カルボキシ基(-COOH)をもちます。安息香酸とケイ皮酸が代表例です。カルボン酸類は、エステル類ができる反応を理解するうえでも重要です。

成分類を読む3つの手順

成分名を成分類へ当てはめるときは、次の順で見ると整理しやすくなります。

  1. 官能基があるか。なければ炭化水素類として骨格を確認する
  2. 官能基がある場合は、-OH、-CHO、-CO-、-COO-、-O-、-COOHのどれかを見る
  3. 同じ官能基をもつ場合は、骨格や環状構造の違いを確認する

この分類地図を基準に、次の記事では炭化水素類、アルコール類とフェノール類、アルデヒド類とケトン類、エステル類、オキサイド・ラクトン・カルボン酸類を順に詳しく学びます。

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