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植物にとっての香りの役割|誘引・忌避・抗菌とアレロパシー

植物の香り成分は、人が香りを楽しむために作られているわけではありません。昆虫などを引き寄せる、摂食する生物を遠ざける、真菌や細菌の発生・繁殖を防ぐなど、植物がほかの生物と関わりながら生きるための役割をもっています。

アロマテラピー検定では、誘引効果、忌避効果、抗真菌効果・抗菌効果の3つを学びます。インストラクターでは、ほかの植物の生育を妨げる働きとアレロパシーが加わります。

誘引効果――受粉や種子の運搬に関わる生物を引き寄せる

受粉のため、また種子を遠くへ運んでもらうために、昆虫などの生物を引き寄せる働きを誘引効果といいます。

香りで引き寄せる相手は、受粉を担う昆虫だけとは限りません。

🟣専門開花した花は、未受粉の間によく香り、しおれた後は香らない例があります。未受粉の花へ効率よく虫を呼ぶ植物の戦略とも考えられています。

🟣専門害虫を捕食する天敵の虫を、香りで引き寄せる植物もあります。この場合、誘引された虫が害虫を捕食することで、植物の防御につながります。

未受粉の花の例は、あらゆる花へ一律に当てはまる説明ではありません。また、天敵を誘引する働きも、そのような植物があるという例です。

忌避効果――摂食する生物を遠ざける

摂食されることを防ぐために、昆虫などの生物を遠ざける働きを忌避効果といいます。

植物の香り成分のすべてが忌避効果をもつのではなく、虫を寄せ付けず植物自身を守るものがあります。誘引効果が生物を「引き寄せる」働きであるのに対し、忌避効果は「遠ざける」働きです。

抗真菌効果・抗菌効果――真菌や細菌の発生・繁殖を防ぐ

カビや酵母などの真菌、細菌の発生・繁殖を防ぐ働きが、抗真菌効果・抗菌効果です。

ここで説明しているのは、植物にとっての香り成分の役割です。精油が人に対して示す作用名とは分けて考える必要があります。人に対する精油の作用は、精油の主な作用で扱っています。

フィトンチッド 🟣専門

植物の中には、植物と共生する菌の繁殖を妨げる菌や、幹を傷める病原菌を死滅させる物質をもつものがあります。つまり、死滅させる対象は、共生菌そのものではなく、その繁殖を妨げる菌や、幹を傷める病原菌です。この物質をフィトンチッドといいます。

フィトンチッドは、ロシア語の「フィトン(植物)」と「チッド(他の生物を死滅させる能力)」を組み合わせた造語です。森林の香りは、抗真菌・抗菌効果が特に高いといわれています。

ほかの植物の生育を妨げる働き 🟣専門

植物には、ほかの植物の種子の発芽を抑えたり、生育を妨げたりして、自身の生存を有利にする働きがあります。

化学物質を介した植物間の相互作用をアレロパシーといいます。アレロパシーに関わる化学物質は、ほかの植物だけでなく、それを放出した植物自身の生育を妨げる場合もあります。

アレロパシーは、誘引・忌避・抗真菌/抗菌に加えて、インストラクターで学ぶ植物の香りの第4の役割です。

4つの役割の違い

役割主な対象植物にとっての働き
誘引効果受粉や種子の運搬に関わる昆虫など必要な生物を引き寄せる
忌避効果植物を摂食する昆虫など生物を遠ざけ、摂食を防ぐ
抗真菌効果・抗菌効果真菌や細菌発生・繁殖を防ぐ
🟣専門アレロパシーほかの植物。場合によっては放出した植物自身発芽を抑えたり、生育を妨げたりする

植物の香りには、相手を引き寄せる働きと遠ざける働きがあり、真菌や細菌、ほかの植物との関係にも関わります。

精油が植物の中で作られ、蓄えられる過程は植物が精油を生み出すしくみで、香り成分が蓄えられる部位は植物の部位と精油で詳しく扱っています。

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