精油は、植物全体に均一に含まれているわけではありません。花、葉、果皮、根など、植物ごとに異なる部位へ蓄えられ、そこから取り出されます。
植物の部位には、それぞれ固有の役割があります。抽出部位を知ることは、植物がどこに芳香成分を蓄えているのか、そこから得られる精油にどのような傾向があるのかを理解する手がかりになります。
植物によって抽出部位が異なる
植物の中で作られた精油は、特定の細胞で作られ、それぞれの部位に蓄えられます。精油が蓄えられる場所は植物によって異なり、精油を取り出す部位もそれぞれ異なります。
精油が植物内で作られ、蓄えられるしくみは、植物が精油を生み出すしくみで詳しく扱っています。
検定で学ぶ6つの部位
アロマテラピー検定では、花、樹脂、根、果実、葉、幹の役割と、各部位から得られる精油の特徴・使われ方を学びます。
花
植物での役割
花は、虫や蝶などを誘って受粉を促し、子孫を残すための種子を作る部位です。
精油の傾向・使われ方
花から得られる精油には華やかな香りのものが多く、ホルモンバランスが気になるときや、楽しい気分になりたいときなどに使われます。
樹脂
植物での役割
樹脂は、幹から出た樹液が固まったものです。幹の傷を癒やし、菌などから植物を守る働きがあります。
精油の傾向・使われ方
樹脂から得られる精油には個性的な香りのものが多く、心身を癒やしたいときなどに使われます。
根
植物での役割
根は、地中から水や養分を吸い上げるとともに、植物を支える土台となる部位です。
精油の傾向・使われ方
根から得られる精油には土のような深い香りのものが多く、心を落ち着かせたいときなどに向いています。
果実
植物での役割
果実は、おいしい果肉で鳥などを誘い、種子を遠くへ運んでもらう役割をもちます。
精油の傾向・使われ方
果実から得られる精油にはさわやかな香りのものが多く、消化器系のトラブルが気になるときや、リフレッシュしたいときなどに用いられます。
葉
植物での役割
葉は、光合成によって植物に必要な栄養を作るとともに、人間や動物に必要な酸素を生み出します。
精油の傾向・使われ方
葉から得られる精油にはすっきりとした香りのものが多く、リフレッシュ作用や抗菌作用などがあるといわれます。
幹
植物での役割
幹は、根から枝葉へ栄養分などを送る運搬路であり、植物を支える役割も担います。
精油の傾向・使われ方
幹のうち、心材から得られる精油には森林を思わせる香りがあり、リラックスしたいときや、心を鎮めたいときなどに活用されています。
部位ごとの香りや使われ方は、すべての精油に同じ特徴が当てはまるという意味ではなく、それぞれの部位から得られる精油に見られる傾向です。また、植物の部位がもつ役割から、人に対する作用を導けるという意味でもありません。植物器官としての役割と、精油の傾向・使われ方は、分けて考える必要があります。
精油の主な抽出部位 🟣専門
インストラクターでは、抽出部位を植物器官の特徴まで掘り下げて学びます。主な抽出部位は、花、葉、果皮、果実、球果、心材、根、種子、樹皮、樹脂です。
| 抽出部位 | 植物器官としての特徴 |
|---|---|
| 花 | 種子植物の生殖器官。花から得られる精油は収油率が低い |
| 葉 | 光合成と呼吸を行う器官。葉緑素を含むため緑色に見え、水蒸気蒸留法で得られる多くの精油の抽出部位となる |
| 果皮 | 果実の種子を包む部分で、子房壁が発達したもの。種子を保護し、最も外側の外果皮はかんきつ系精油の抽出部位となる |
| 果実 | めしべの子房が発達した部分と、その付属器官。被子植物の種子を内包し、乾果と液果に分けられる |
| 球果 | 木化した鱗片状の葉が、球状に集まってできた果実 |
| 心材 | 樹木の中心に近く、芳香成分を多く含む部分 |
| 根 | 地中や水中へ伸び、水分や栄養分を吸収する器官 |
| 種子 | 種皮に包まれ、胚とそれを養う胚乳からなる、植物の発芽のもと |
| 樹皮 | 幹の外側を覆う部分。幹が肥大すると、コルク層によって内部から遮断された組織ははがれやすくなる |
| 樹脂 | 木から分泌された粘度の高い樹液が、空気に触れて酸化し、固形または半固形になったもの。採取のため人為的に木の表面を傷つける場合もある |
同じ「果実に関わる部位」でも、果皮と果実は別の抽出部位として扱われます。また、検定で「幹」として学ぶ内容は、専門では芳香成分を多く含む心材という部分まで具体化されます。
同じ抽出部位に見られる共通点 🟣専門
精油は、植物にとっての役割に合う特定の部位へ多く蓄えられ、その部分が抽出部位になります。同じ抽出部位から得られる精油には、香りや成分などの特徴に共通点が見られます。
これは、同じ部位から得られる精油がすべて同じ香りや成分になるという意味ではありません。植物ごとの違いを前提にしながら、抽出部位という視点から共通する傾向を捉えようとするひとつの試みと考えましょう。
植物から精油を取り出す方法には、水蒸気蒸留法や圧搾法などがあります。詳しくは精油の抽出法で扱っています。