油脂吸着法は、精油が油脂になじみやすい性質を利用して、花の香り成分を油脂へ吸着させる伝統的な抽出法です。ローズやジャスミンなどの花の香りを得るために用いられてきました。
香り成分を吸着した油脂はポマードと呼ばれます。ポマードからエタノールで香り成分を取り出し、最後にエタノールを除くとアブソリュートが得られます。
油脂に花の香りを吸着させる
油脂吸着法では、無臭に精製した牛脂(ヘット)と豚脂(ラード)の混合物や、オリーブ油などを使います。
基本の流れは次のとおりです。
- 花などを油脂へ接触させる
- 香り成分を油脂へ吸着させる
- 香り成分を高濃度に含むポマードを得る
- ポマードへエタノールを加え、香り成分を取り出す
- エタノールを除き、アブソリュートを得る
精油を蒸気で揮発させたり、有機溶剤へ直接溶かしたりするのではなく、まず油脂へ香り成分を移す点が特徴です。
冷浸法と温浸法
油脂吸着法には、温度条件の異なる2つの方法があります。
冷浸法(アンフルラージュ)
冷浸法は、常温で固体の脂の上に花などを並べ、香り成分を油脂へ吸着させる方法です。フランス語名からアンフルラージュとも呼ばれます。
温浸法(マセレーション)
温浸法は、加熱した油脂へ植物を浸し、香り成分を油脂へ移す方法です。マセレーションとも呼ばれます。
ポマードからアブソリュートを得る
香り成分を高濃度に吸着した油脂をポマードと呼びます。
ポマードへエタノールを加えて香り成分を取り出し、その後エタノールを除いて得られるものがアブソリュートです。
花の香り
→ 油脂へ吸着
→ ポマード
→ エタノール処理
→ アブソリュート
油脂吸着法は非常に手間がかかるため、現在はあまり行われていません。
2つの方法の温度と対象 🟣専門
冷浸法と温浸法は、油脂の状態と温度で区別できます。
| 方法 | 油脂と温度 | 操作 |
|---|---|---|
| 冷浸法(アンフルラージュ) | 常温で固体の脂 | 脂の上へ花などを並べる |
| 温浸法(マセレーション) | 60~70℃に加熱した油脂 | 植物を油脂へ浸す |
「冷浸法は固体の脂の上へ並べる」「温浸法は加熱した油脂へ浸す」と、温度と操作を一緒に捉えると違いが明確になります。
コンクリートとの違い 🟣専門
油脂吸着法と揮発性有機溶剤抽出法は、どちらも途中生成物をエタノール処理し、アブソリュートを得ます。ただし、途中生成物が異なります。
- 油脂吸着法:香り成分を吸着した油脂であるポマード
- 揮発性有機溶剤抽出法:香り成分とワックス成分などを含むコンクリート
この2つを区別すると、抽出法からアブソリュートまでの関係を整理できます。
インストラクターテキストでは、現在のアブソリュートのほとんどが、油脂吸着法ではなく揮発性有機溶剤抽出法で得られると説明しています。
まとめ
- 油脂吸着法は、精油が油脂になじみやすい性質を利用する伝統的な方法です。
- 冷浸法(アンフルラージュ)と温浸法(マセレーション)があります。
- 香り成分を吸着した油脂をポマードと呼びます。
- ポマードをエタノール処理してアブソリュートを得ます。
- 手間がかかるため、現在はあまり行われていません。
抽出法全体の位置づけは、精油の抽出法で比較できます。現在のアブソリュートに多く用いられる方法は、揮発性有機溶剤抽出法で詳しく学べます。
