油脂吸着法は、精油が油脂(牛脂や豚脂、オリーブ油など)になじみやすい性質を利用して抽出を行う伝統的な方法です。
ローズやジャスミンといった、繊細で熱に弱い花の香りを抽出するために、古くから行われてきました。
※現在は、揮発性有機溶剤抽出法などの技術が発達したため、主に歴史的な抽出法として学ばれます。
1. 2つの主な手法
温度条件によって2つの方法に分けられます。
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冷浸法(アンフルラージュ)
- 常温で、固形の脂(ガラス板に塗ったものなど)の上に花を並べて、香り成分をゆっくり吸着させる方法です。
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温浸法(マセレーション)
- 60〜70℃に加熱した液状の油脂に植物を浸して、香り成分を抽出する方法です。
2. 抽出のプロセス
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吸着:油脂に植物(主に花)を長時間接触させ、香り成分を吸着させます。
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ポマードの取得:花を何度も交換して吸着させ続け、香り成分を高濃度に含んだ油脂(ポマード)を得ます。
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分離処理:ポマードにエタノールを加え、油脂から香り成分だけを抽出します。
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仕上げ:エタノールを除去することで、最終的な抽出物(アブソリュート)を得ます。
3. 抽出される生成物
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アブソリュート(Absolute)
- エタノールによる抽出後に得られる芳香成分です。
4. 手法の特徴と適性
メリット
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花の繊細な香りをそのまま美しく保持できます。
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特に冷浸法は熱を一切加えないため、熱の影響を受けない高度な香りが得られます。
デメリット・注意点
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他のどの抽出法と比べても、非常に多くの手間と時間がかかります。
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コストも莫大になるため、現在ではほとんど実用化されていません。
