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アロマテラピーの歴史:近世〜近代(2)

〜精油抽出の技術革新と香料産業の誕生〜

中世アラビアで生まれた蒸留技術は、近世ヨーロッパで「精油抽出」という産業の基盤へと進化しました。

■ 香料としての精油

16世紀頃から、精油が植物から抽出され香料として利用されるようになり、王侯貴族の間で盛んに使われました。精油は香り目的のほかに、医療目的でも使われました。この香料文化はイタリアからフランスへと伝わり、ルイ14世の時代に、専属の調香師を雇う習慣も現れ、また人の名前で呼ばれることも起こりました。精油「ネロリの名はイタリア・ネロラ公の妃が愛用していたことからつけられたことで有名です。

■ 香水の聖地とオーデコロンの誕生

香りは「医療」から「ファッション・産業」としての側面を強めていきます。

  • オーデコロンの流行: 「オーデコロン」という言葉はフランス語で言う「ケルンの水(Eau de Cologne)」を意味します。17世紀末にイタリア人のジョヴァンニ・マリオ・フェミニスが、ドイツ・ケルンに移住し、当時イタリアで流行っていた「すばらしい水(アクアミラビリス)」という名の芳香水をケルンで販売し始めたことが最初です。その後、製造はジョヴァンニ・マリア・ファリーナに引き継がれさらに人気が加速します。ベルガモットを基調とした爽やかな香りは、あのナポレオンも愛用したと言われています。

  • グラースの発展: 十字軍に遠征した騎士たちはイスラム兵士が使っていた香り付きの革手袋を本国に帰ってからも使うようになり、それがヨーロッパの社交界にも広まることとなりました。そして、当時革手袋の製造の中心であったフランス南部のグラースは、一方で香料植物が豊富に育つ恵まれた気候を持ち、それを活かして香料植物の栽培と抽出の中心地となりました。それによってグラース「香水の地」と呼ばれるようになり、世界的な香料産業の中心地となりました。

■ 産業化と合成香料の登場

19世紀以降、薬用植物から有効成分が次々分離・精製されるようになるとともに、化学の発展が香りの世界を劇的に変容させます。

  • 合成香料の誕生: 化学的に香りを合成する技術が登場。これにより、高価だった香料が大量生産可能となり、産業は急速に拡大しました。

  • 近代アロマテラピーへの伏線: 産業化によって「天然素材」と「合成素材」が分化。この流れが、後の20世紀に「天然精油の力」を再発見するガットフォセらによる近代アロマテラピーの誕生へとつながっていきます。


時代の変遷まとめ:探検から科学へ

  1. ルネサンス: 古典の復興とハーバリズム(薬草学)の黄金期。

  2. 大航海時代: 新航路による新植物(バニラ等)の発見とスパイス貿易。

  3. 科学の時代: リンネによる分類学と、バンクスらによるプラントハンティング

  4. 産業の時代: 蒸留技術の完成、ケルングラースでの香料産業の成立、そして合成香料の誕生。

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